御年90になる祖父は元々口下手。
「自分の考えを言語化する時は慎重に」という俺の
資質は祖父から与えられたものかなとも思う。 明くる年の正月家族集合、他愛の無い会話が行き交う。 サラダにはソースかマヨネーズかとか、
今年も山梨学院大学が強いとか。 でも誰の会話に入る事なく一人笑顔で熱燗エンドレス。 縁もたけなわ、 「次に集まれるのはお盆かしらね」 「そりゃマヨネーズじゃろ」 ザワつく総勢15名。 いくら酩酊とはいえこれほど会話に遅延があるとは
予想しておらず全員爆笑。 そりゃギターエフェクトでもディレイっつって
演奏音を遅延させる事で音を太くする機材があるけれど、 この時の祖父の「マヨネーズ」はイントロで鳴らし
たギターの音がラストの大サビで流れたレベル。 けれど俺は笑えなかった。 誠心誠意に発言する人だって知ってたから。 今も例えばミュージシャン仲間と喋ってて、
「いまその話!?」とか、
「さっきそれ全く同じ事を同じ鮮度で言ってたぞ?」とか、
ツッコまれる事がある。 その度、家族全員でワイワイしてる風景を見ながら
一人笑顔になってる祖父の顔を思い出す。 話の生産性とか有益性とか大して気にしてないんだよな。 みんなが楽しそうにしてるのが嬉しいんだよな。 今年の秘密基地も終わったし、
また正月あなたのひ孫を連れて会いにいくわ。
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