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執筆者の写真Bun(ブン)

昇龍拳とスラップ




中学生の頃に爆発的に流行り、発売日に買えなかったストリートファイター2。略してスト2。


友達もいないイジメられっ子なので休日はずーっとスト2。


使うキャラクターはもっぱらリュウ。なんてったってイケメン。リュウになりたい。


そして必殺技もイケメン。


かめはめ波みたいな飛び道具の「波動拳」、まるでヘリコプターの羽で相手を倒すかのような回し蹴りの「竜巻旋風脚」、そして対空迎撃のクロスカウンター「昇龍拳」。


3つの必殺技はどれもカッコよく、そしてそれぞれ補完性・汎用性も抜群。


ただ、最初は全く使えなかった。


〜〜


特に昇龍拳のコマンドがややこしい。


十字のコントロールボタンを「→」「↓」「↘︎」の順番で押し、最後の「↘︎」を押すと同時にパンチボタンも押さなくちゃいけない。


厄介なのは、初心者というのは頭の中で手順を追いかけるだけで時間がかかるという事だ。


「最初は→で、えっと、次が↓だっけな」といった具合。


運転免許でもよく言われる、この「認知・判断・実行」までに時間がかかる。WindowsXPでいう所の「ずっと砂時計状態」。


そのくせ「ただ昇龍拳を出したい」って事ばかり考えて、それでも上手くいかないから、昇龍拳に失敗した時に出る「ヘナチョコパンチ」ばかり。敵にボコられて負ける日々。


そうこうしていると、わざわざ考えずともボタンを押す順番を無意識に暗記でき、いちいち「最初は→で」とか思わず、手順自体は身体が勝手に動いてくれるようになる。


これが「慣れる」というやつだ。


あとは成功率。


その手順を、順番通りに「確実に」実行できるかどうか。


もちろん最初は成功率なんてピッチャーの打率くらい低い。


それでも、何度も繰り返し練習していくとなんとなくコツがわかってきて、昇龍拳を出せる確率が高くなっていく。


そうして迎えた相手は力士キャラのエドモンド本田。


まるでロケットのように、空中を真一文字に突っ込んでくる必殺技の持ち主。


問題は、エドモンド本田がロケットみたく突っ込んできたドンピシャのタイミングで昇龍拳で迎撃できるかどうか。


エドモンド本田のロケットに対し、昇龍拳の射程距離で「→」「↓」「↘︎」というコマンドを押さなくちゃいけない。


突っ込んできたエドモンド本田。


緊張するリュウ(俺)。


十字キーを触る左手も心なしか震えている。


いざ。


間違えて「←」を押してしまう。


負け。


昇龍拳を、「出せる」と「使える」は違う。


「使えるかどうか」とは、「出せるか出せないか」じゃない。


「出せる事は当然として、いつ出すか」が重要なのだ。


※※


この記事の冒頭、「〜〜〜」で区切ったチャプター最初の「昇龍拳」は、そのままスラップ奏法やスケール暗記といった「目標としていること」に置き換えられる。


最初は、上手くいかない。


例えばスラップにしても、右手親指はネックの付け根を叩く、人差し指は弦に引っ掛けてはじく、その手順を追いかけるだけで精一杯。


いざ「出来るようになった」からと言って、楽曲が求めている「適切なタイミング」で確実に出せるとは限らない。


そして、確実に出せるようになったからと言って無闇に出しても効果があるとは限らない。


成功率100パーセントの昇龍拳も、出すタイミングを間違えるとエドモンド本田のロケットの餌食になるのだ。


スラップも、出すタイミングを間違えると「うるせぇ」と顰蹙を買う。


「出せる」と「使える」は違う。


そして、出すタイミングによって「使う意味はあったのか、ただ無意味だったのか」も変わるのだ。




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