アレンジとレコーディングを担当した曲がYouTubeにアップされました。
https://youtu.be/zbtWR010atw
アレンジ(編曲)とは、テレビドラマで例えると脚本・演出みたいなことで、メロディに対してドラムをどう付けるか・ギターやベースをどう演奏するかっていう役割や「セリフ」を設定して、「原作という活字の羅列をテレビドラマとして成立させるための」作業。
「ここでドラムがあーしてベースがこーして」っていう構成を(主に脳内で)構想していきます。
例えば徳永英明さんはカバーアルバムが有名だけれど、原曲とカバー曲でアレンジが違うのは「テレビドラマとミュージカルだとそもそもの演出が変わる」みたいな事です。
一方でレコーディングは演技にあたります。
本番一発OKな時もあれば何度もNGを出してしまう事もあるけど「締切期日」に間に合う事が必須。
とすれば、締切期日に間に合うために段取りをどう組めばいいかという「逆算能力」が必要になります。
それらをふまえ、
アレンジ・レコーディングのご依頼を頂いた際は、期日に間に合う段取りにするために以下の3つを「原作」として提出していただいてます。
①歌詞カード
②コード進行表
③仮歌データ(伴奏なしのアカペラバージョンと、伴奏ありのバージョン。ボイスメモ可)
①と②は、メモ書きでもOK。
③の、伴奏ありバージョンの音声データは「コードは実際どのタイミングで変わっていくのか」を確認するために必要で、
伴奏なしアカペラバージョンの音声データは「実際に脚本と演出」を考えるために必要。
特にアカペラのほう、伴奏がないことで歌だけを聴きながら脚本と演出を考える事ができる。
僕の場合、まずドラム(のパソコンでのプログラミング)を仕上げます。
というか「ドラムをどうしようか」が僕にとってアレンジの8割。
「テンポはこの速さだな」とか、
「歌の持つ基本リズムはこんな感じだな」
そういった「原作の特徴」を捉えて、曲全体の尺と抑揚をドラムで付けます。
Aメロではハイハット(テンポを示唆するシンバル)は大人しめ、Bメロはライドシンバルで乾いた音を、サビではハイハットをフルスロットルみたいな。
ただそれだけだとメリハリが少ないので、例えばBメロからサビに入る「折り返し地点」ではドラム音を減らしたり増やしたりして「シーン転換」も演出します。
いわゆるフィルイン。
この「ドラムによる派手なフレーズ」を考えるのがアレンジの5割です僕の場合。
ドラムが決まれば、次はベース。
元々ベーシストなので、楽曲に装飾を加えるのは専らベースでやるのが得意です。裏メロ入れたり。
裏メロを作る際にも、事前に丸暗記した「アカペラ」が活きます。
裏メロは「歌と歌の間」に入れるのを基本としてるからです。
ギターは僕の場合、ほぼコードしか弾きません。ドラムで決定した抑揚に寄り添う音圧付けのための楽器というか。
静かなセクションではクリーンで、サビでギャイーンと。
↑
ここまでがアレンジ作業になります。
アレンジが決まっていれば、レコーディングは演奏に集中できます。
「セリフそのもの」というより「物語をすすめるためのツール」が確定してるからです。
テレビドラマで「犯人はお前だ!」と言うのか「あなたが犯人ですね?」と言うのかはキャラや物語が破綻しなければどちらでもよくて、でも「犯人がわかるシーンだ」ってのは確定してるわけで、演奏においては「何をするか」がわかってれば「細かな所はやってみてから」という。
で、レコーディングを全て終わらせると、次はミックス。
各パートの音量バランスの調整です。
「シーンごとに、どの役者さんをズームアップするか」みたいな。
最後にマスタリングっていう「全体音圧をあげる作業」をして、脚本と演出は完了。
これで「原作者・プロデューサー・監督」からOKが出れば僕の仕事は終了。
実際どんなドラマになるかは、主役である「演者」が決めていきます。
今回の曲は最終的に「ラフなサウンド」に仕上げられてて、これはこれでカッコいいですね。
6分という長尺の曲ですが、ぜひご視聴ください。
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