息子はよく「手伝ってください」と言ってくる。
シャツが前後逆の時、おもちゃのパーツが外れた時。
ついつい「最後まで自分でやってみな」という言葉が出そうになる。
でも、本音では彼が羨ましいのだ。
素直に助けを求めれる彼が。
「自分の事は、一人でやる」
「助けを借りる事は、ダサい」
そんな価値観が根付いていると、困っていても気軽に頼み事が出来ない。
そしてそれは、褒められた事ではない。
高過ぎるプライドが、人を死に追いやる事もあるから。
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日本のプロレス創始者であり、歴代最強の一人に数えられる力道山も、その死因はプライドの高さだったという説がある。
直接的な原因は暴漢に刺された事だが、実はその手術は成功している。
正式な死因は、完治してないのに見舞いの寿司を食べた事だという。
ここからは憶測だが、力道山はプロレスラーとして「カッコつけたかった」んじゃないかと。
というのも、医者からすれば「術後しばらく飲み食い禁止」なんて事は患者に対して告げるはずで、力道山はそれでも寿司を食べている。
「あんな大怪我だったのにもう飲み食いできるんすか?さすがっすね!」
「プロレスラーってのは超人だからな!」
こんなやり取りがあったとしても不思議ではない。
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「助けて欲しい」
「これは出来ない」
そんなことを言うのはダサいという価値観。
「一人では出来ないから力を貸して欲しい」
ちっぽけなプライドを捨てるための、ほんの少しの勇気。
いちベーシストがライブイベントを開催する、そんな無謀も、助けてくれる仲間がいたから三回も開催できた。
息子のパンツを履かせている時、あの時のステージを思い出すんだ。
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