息子へ。
とーちゃんはお前に対して日々気をつけている事がある。
それは「わかりにくい説明をするな」という事だ。
言った所で返って逆効果になることがあるからだ。
例えば「緑色のラクダを想像しないでください」って言われてみ?
どうしたって一度は頭の中で緑色のラクダを想像してしたはずだ。
人はな、「◯◯しないでね」という否定形を本質的には理解できないんだ。
実質「緑色のラクダを想像してね」と言ってるようなもんだ。
わかるか?
とーちゃんお前に「行くな」とか「走るな」とか言った事ないはずだ。
それは「行け」「走れ」と言ってるようなもんだ。
そうじゃなくて「前を向いてゆっくり」とか「歩け」とか、そういう言い方を意識している。
想像した事そのまんまを実行できるはずだ。
同様に「ころぶよ?」とか「こぼすよ?」っていう言い方も嫌いだ。
「いまの状態だと数秒後に嫌な結末が待ってるよ?」という言い方だ。
言う側として具体的には「嫌な結末」しか伝えていないんだから、言われた側も「嫌な結末」しか想像できないよな。
こないだ公園で遊んだだろ?
そん時どこかのママさんが子供に「転ぶよ?」って言って、まんま数秒後に子供が転んで「だから言ったじゃない」とか言ってただろ?
「転ぶように仕向けたの誰だよ」って。
大切なのは「具体的にどうしたらいいか」だ。
ならばこそ「前を向きなさい」とか「歩きなさい」とか、そういう言い方じゃなきゃいけない。
そういう言い方に変換する練習の場こそ、家なんだ。
外で急には、無理だからだ。
だから家で「のっぴきならない状況」の時は、とーちゃん多分お前の手を掴む。
「それやめろ」というたった5文字が出てこない時もあるからだ。
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